JU・MEKIKI法人会員で「株式会社 百合の滝沢」代表取締役 滝沢久さんの会社を訪問してインタビューしてきました。 滝沢さんが育てる百合の花は、産地直送で生命力に溢れていて、大きな花びらと豊かな香り、八重咲きなど様々な品種が楽しめるのが特徴です。つぼみで届いて、毎日少しずつ時差で花開くように工夫されているため、長く楽しめます。百合の花を贈られた方が、その感動を次の方へ贈り、ファンがファンを作っています。その秘密を探りに取材してきました。
■渋沢栄一の出身地・深谷で百合を生育
場所は埼玉県深谷市。JR深谷駅から車で10分ほど。
ハウス10棟分、6haの敷地に主に切花向けの百合を生育しています。6haは約18,000坪。東京ドーム1個分の広さに相当します。
JR深谷駅は、東京駅を模したデザインの駅舎で知られており、関東の駅百選に選ばれています。東京駅が深谷市産のレンガを大量に用いている縁から「レンガの街」をアピールする意味を込めて1996年に改築されました。深谷市は新一万円札の顔となる渋沢栄一の出身地でもあります。
◾️父の志を受け継ぎ、年間400万本の百合を出荷
百合の生産はお父様の代から。
お父様が戦地のジャワ島で捕虜になったとき、美しい花の存在が支えになったそうです。当時は、食べていくのも大変な時代でしたが、百合の美しさ、力強さ、たくましさを感じ、「花がいずれ人々の癒しになる」という信念のもと、新潟の魚沼で百合を育ててきました。そのお父様の志を受け継いで、ハウスで一年中花を育てられる深谷市で百合の生産を始めて40年になります。
滝沢さんご自身、品種改良も10年ほど行い、テッポウユリと乙女ユリを掛け合わせた「アリエス」という新種を開発、1990年大阪「花の博覧会」で植物バイテクで生まれた新品種として紹介されました。その後は、オランダから球根を輸入して切花向けの百合の生産へとシフト。10年前からは別会社を立ち上げて「百合の滝沢」として開業。いまは20名の従業員やご家族と共に百合を育て、娘婿の後継者もできました。
年間400万本、毎日1万本以上の百合を出荷しています。市場向けの出荷が主ですが、コロナをきっかけにネット販売を開始。流通改革を行って、花持ちがよく新鮮なままお客様へ届く仕組みを作り、ギフト用は奥様がきれいにラッピングして個人宅やオフィスなどへ配送しています。
■美しく生命力あふれる百合に育つ秘訣
滝沢さんが育てる百合は、なぜこんなにも力強く美しく、生命力にあふれているのか? その秘訣のひとつに、土へのこだわりがあります。化学肥料に頼らず、有機肥料を中心に、5年ほどかけて土づくりをしっかり行います。土壌の消毒をしていないので、微生物のバランスがよく、連作障害が起きず、健康な百合が育ちます。百合は約4ヶ月で出荷。百合の収穫後に残った球根も土に還して、次の百合の肥料になります。土が良いと、根がしっかり張って、発色や香りが良くなるのです。
球根はオランダから直輸入。オランダの品種改良技術は先進的で、豊富な品種と花持ちが良いことが特徴です。特に八重咲きの百合は、日本ではまだ珍しく、花粉がないので人気があります。季節ごとに様々な品種を楽しめますので、毎月様々な品種が届く年間定期便は、個人宅だけでなく、オフィスの顔としても重宝されています。
そして一番の秘訣は、熟練スタッフによる丁寧な仕事ぶりと百合への愛情です。
百合農家では朝6時40分から朝礼が始まり、7時には収穫を開始します。1000〜2000ケース。多い時は3000ケース、毎日1万本以上の百合を出荷しています。
ご家族とスタッフ総勢20名で、収穫・選別〜梱包・出荷までを丁寧に行います。
毎日、朝7時〜17時。繁忙期でも臨時の人を入れず、19時まで延長してチームで協力して乗り越えます。
◾️百合農家の1日
朝6:40から朝礼 ▶️ 7時から収穫開始 ▶️ 17時まで(繁忙期は19時まで)
収穫した百合を選別 ▶︎ 水揚げ ▶︎ 冷蔵庫(6℃)へ。
一度、しっかり冷やすことで鮮度が高まります。
球根は-1.5℃で休眠させていて、これを毎週6〜7万個植えます。
母の日などイベントがある時は多く出荷するため、逆算して植え付けします。
すべてのスケジュール管理と段取りは滝沢さんが行っています。
悩みは、担い手に自分が培った経験や勘を伝えるのが難しいこと、長期休暇を取れないこと。
◾️なぜ「百合」なのですかーー滝沢さんの想い
百合の花で人々をしあわせにしたい。
花がキレイと思う人は戦争を起こさない。
世界中の人が花を愛でるようになれば、戦争がなくなり平和になる。
百合は癒し。心を豊かにしてくれるもの。
忙しい現代だからこそ、花を愛でる時間を持って欲しい。
心豊かに生きる、自然に生かされている。
◾️なぜ JU・MEKIKI 法人会員になられたのですか?
メキキというのは、出口さんもそうですけど、霊(=スピリット)、
みんなが霊で繋がっている。霊まで掘り下げるとやっぱり繋がる。
そういう人たちが、繋がってくる。
自分は会社をやってるので、会社として何ができるか?
社会に貢献することは何ができるか?
といったら、やっぱり
メキキで活動したりすることも1つだと感じたんです。
法人会員でこれから会員の皆さんと縁を繋がって、
いろんな活動をしていきたいと思っています。
まだ今は現場で忙しいですけど、もう少し余裕ができたら
何年か先にはメキキの活動もしっかりやっていきたいと思ってます。
◾️取材を終えて(聞き手・JU事務局 田口里香)
JU・MEKIKIは「人が財産」。法人会員の方は、志からビジネスを行い、豊かな循環を生み出して社会貢献されている方々。その志が「百合」に体現されている滝沢さんに第1回の取材を申込みしました。初めて滝沢さんの百合に出会った時、圧倒的な美しさに衝撃を覚えたからです。
以来、あちこちへこの感動をお贈りしている一人ですが、どうやってこの百合が育つのだろう?という好奇心もあって、ワクワクの取材でした。広大な敷地と全工程をご案内いただき、滝沢さんの百合への熱い想いと愛を肌で感じました。お父様から受け継いだ志からビジネスを行い、次世代へ。
滝沢さん、ありがとうございました!
◉滝沢さんの好きなユリ3選
・アイシャ(八重・白)
・テーブルダンス(ピンク)
・プレミアムブロンド(白)
◾️凛とした気品を放つ大きな百合に驚き(ライター・伊藤樹理さん)
田口さんの取材にご一緒させていただきました。滝沢さんに百合園を案内していただき、凛とした気品を放つ大きな百合を見たときは、あまりの美しさに驚きました。
「この忙しい時代にあっても、花を慈しみ、心安らぐ時間を大切にしてほしい」という思いで、百合をつくり続けているという滝沢さん。戦地で百合に心癒されたお父様の思いが、滝沢さんに引き継がれ、いま娘さんご夫婦に継承されようとしているというお話も感動的でした。こんな風に“志のバトン”が引き継がれていくなんて、本当に素敵ですね!
オンラインショップから花好きの友人に八重百合を送ったところ、「こんな百合は初めて見た!」と感激していました。人々を幸せにしてくれる、滝沢さんの百合。これからもぜひ、末永くつくり続けてください